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2002年12月17日 栃木 R.F様


 同じ高校の先輩と聞いて感激

 大田原市のFさんは愛媛の同郷という事で凄く親しみを憶えましたが、話が進むにつれて高校が同じだと知って全く驚いてしまいました。25年近く商売をしていますがこんな事は初めてです。まして、東京へ出て来て間がない時ですから、心強くもあり、凄く嬉しい気持ちになってきました。

 誰もが薦めた”ローゼンクランツ”

 そのFさんとのきっかけは、インシュレーターの貸し出し依頼を受けたのが始まりです。何軒かの店に電話をして聞いてみた時に、どこの店も決まって、「”ローゼンクランツ”が良いのでは?」と言うので、借りて聴いてみようと言う気になったそうです。

 怪しい気持ちも、一瞬に吹き飛んだ

 カンタベリーを買ってもなかなかいい音で鳴ってくれなかったので、ここ1年余り本気で聴いていなかったそうです。「歯と歯茎の構造」と聞いた時に、最初は何か怪しい気持ちを持ったとも聞かされました。しかし、そんな事は一聴した瞬間に吹き飛んだそうです。

 ”楽しみ”でもあり、”不安”でもある

 すぐに、DADDYを3個とBIG6個の注文を頂きました。その、注文分のBIGが届くまで試聴用のBIGを借りていてもよいかとのお尋ねでした。もちろん、アンプとスピーカーにBIGを同時に入れて聴いてみたら、どのような音になるのか”楽しみ”でもあり、”不安”でもあると仰る。

 伊予の”よもだ”

 それは、そうでしょう、コンポにもスピーカーにもとなると結構な額になりますから。しかし、結果は言うまでも無く、「入れたら外せなくなった」そうです。そこらあたりは、Fさんの伊予の”よもだ”ならではの、”おとぼけ”たっぷりの試聴レポートを頂いておりますのでご披露させて頂きます。

 愛媛には伊予漫才という独自の文化があり、悪ふざけが大変好きな県民性なのです。関東の人には一寸この感覚は危険で通用しないでしょう。そうした、”からかい”や、”悪ふざけ”や、”おとぼけ”の事を「よもだ」と言うのです。

  
 以前、R.F様より頂いたメールの抜粋

 カイザーサウンド 貝崎 様

 いやぁ、参りました。
 今まで  ナニ ヲ キイテ イタノカ とわが耳を疑わざるを得ない。
 正直言って、エライものに出会ってしまった感あり。
 感服の1語!

 11/17、CDプレーヤーでJRUとDADDYを試聴。
 両者の差は歴然。価格差も納得。DADDYでキマリ。

 CDの底板がやわで、これで効くかと心配しましたが、最終的には、
 叩いて見て比較的響きの硬い所を選んでセット。
 やはり、前1点・後2点がベスト。
 少しずつ動かして行くと、硬さが取れて音が純粋で、しかも
 響きたっぷりに鳴り出し...
 とにかく、ヘンデルの合奏協奏曲がこんなに楽しい音楽だとは!
 音が悪いと思っていたCDが、LPの様な感じで鳴り出す...

 以上、ご連絡旁々、中間報告まで。

 栃木・F



 カイザーサウンド 貝崎 様

 11/19 A.M、送金手続き、完了しました。

 通帳が見事に紅葉!  ま、その内、なんとかなるでしょう。

 音は確かに良くなりましたが、『随分といい音』とは言えないレベル。
 それでも、お陰様でやるべき方向が少し見えて来た様な気がします。
 有難うございました。感謝します。

 以前は、混濁した尖った音。ずっと何とかしたいと思っていた。
  (今になって見ると随分ひどかった...恥ずかしい位。でも、こう言えるのは、実にハッピーな事だと思う。)

 で、第1日目が、滑らかでふくよかな音。但し、低音が濁ってだぶつく。
 それでも、楽器が歌うのが分かる様になって有頂天!まさに単細胞!

 第2日目(昨日)、プリとメインにBIGを噛ましたら、
 低音の濁り・だぶつきが取れて、スッキリし、
 ボーカルの表情が見え始めた。
 但し、一緒に柔らかい響きも少しそぎ落とされてしまった。
  (この後、CDのDADDYを、後2点・前1点から、左2点・右1点に変えて響き回復。)

 今日は、プリとメインの脚を外して、スィート・スポット探しの予定。

 この分だと、後、プリ用にDADDY・3個、メイン用にBIG・3個が必要と
 なりそうな気がしていますが...
 けど、チトしんどいなぁ、と言うのが偽らざる所。

 家内には1個の値段しか言ってませんので、宜しく。
 敵は、1セットの値段だと思っています。
 私は嘘は言ってません。単価をつぶやいたダケです。
 トータル金額言ったら、同額をフンダクラレルので!

 それでは、又。

 栃木・F



 カイザーサウンド   貝崎 様

 先ほどは、電話にて失礼しました。

 送金手続きは、完了しましたが、15時を過ぎてしまいましたので、『振込予約』。実送金は、明日22(金)です。

  PB-BIG・6個 + STB-DAIBUTSU・1個

  以上、宜しくお願い申上げます。

  心配した通り、毒・皿になってしまいました。分かってはいたけど誘惑には勝てず、ついSPの下にBIGを入れ、CDを聞いた途端、コリャダメだと観念しました。前回が『毒』の分、今回が『皿』の分の積りですが、まだ、お皿が残ってるんじゃないかと...

  この年になると、嬉しい事が少ない。だけど今回だけは、随分とハッピーな気持ちを味わさせて貰っています。

 有難うございます。

 栃木・F



 もっと、もっと沢山のメールを頂いているのですが、Fさんの”よもだ”ぶりを分かって頂けたでしょうか?。こうした楽しいやり取りが出来るのは、先輩とか、同郷だけではなく、Fさんの”親分肌な気質”と波動が合うのでしょう。

 訪問する前から、

 「先輩!、ウマイ飯でもおごってよ〜」。

 『よっしゃ〜!、まかしとけ!』。

 『那須牛の、ウマイ肉を食わしてやろ〜!』。

  

 大田原牛「大黒屋」総本家

 こんな調子で、地元の大田原牛「大黒屋」総本家というお店に連れて行ってくれました。この大黒屋さんは「大田原牛」と「那須牛」の二つの”登録商標”を持っているこだわりのお店なのだそうです。


 店内に入るや否や、血色のいいご主人が自らお出迎えです。


 『今日食べてもらう肉はこれですよ!』。

 と言って、手に持って見せてくれた。

 そのいきなりの先制パンチに圧倒され、思わず、「旅日記の形で、今日の料理をホームページに載せたい」からと言って、写真を撮らしてもらいました。それは、今までに見たことも無いような”しもふり”で、赤身の中に半分以上が脂の入り混じっている肉です。

 栃木弁のお茶目な奥さん

 奥さんおっしゃるに、

 『この人頑張り過ぎて、病気で倒れちゃったの!』。

 と茶目っ気たっぷりに話すのが、すごく嬉しそうです。

 詳しくお聞きすると、

 『この人の肉に対するこだわりは半端じゃな・い・の!』。

 独特の語尾を上げてしゃべる栃木弁が、これまた暖かいのです。

 『血統書付きの牛を自分で育てるでしょう』、

 『そして、自分でさばいて』、

 『自分で調理しなきゃ気がすまないんだから、病気もするわよねぇ〜!』。

 『だから、今じゃ牛を育てるのを人に任せてんのよ!』。

 美味しい肉の秘密

 そして、私が上手く質問すると全部秘密を喋ってくれるのです。

 『肉はね、どの部分が美味いかではなく』、

 『美味い牛は、何処の部分を食べても美味いのよ!』。

 と言う。言われてみればなるほどと頷けるのですが、気が付きそうで気が付かないものです。

 また、『肉は脂が命!、美味い肉は人間の体温よりも脂の融解温度が低く』、

 『口の中ですぐに解けるから、食べた後も爽やかなの』。

 『うちの肉の油はそれが19度なの』。

  
 食通グルメの極致!

 そんな奥さんの楽しい講談を聞かされている内に、先ず生ハムが出てきました。つづいて、ウインナーです。そして、次が驚きです。さきほど、銀座の料理屋に送った100グラム5,000円もする肉の残りで、銀座で食べると3倍の15,000円は下らないという超レア物の肉刺です。


 『わさび塩か、わさび醤油で食べてみて下さい』と言う。

 ならば、初体験の”わさび塩”で行ってみよう。


 「何たる舌触り!、これは食通グルメの極致!」。

 「これは、日本人にしか分からない価値観です」。

 ウマイ肉というのであれば、もっと肉の味がする赤身の多い方が肉を食べた気になるでしょう。しかし、日本が生んだこの食文化のこだわり、珍味ファンには応えられないでしょう。舌の上で、見る見る肉が溶けそうなのが分かります。これなら歯が無くても食べられます。

 『今では流行のようになっていますが、”わさび塩”で食べるのは私が始めたものなんです』と言うではありませんか。これまた驚きです。こうした、エピソードを肴にして、ご主人自ら目の前で調理をして貰って食べるのは最高の贅沢です。

 
 目の前の鉄板で頂く職人芸の味

 さて、いよいよ本日のメインディッシュであるフィレとロースのステーキです。ナイフとフォークさばきの鮮やかなこと。肉がその場でクルット回転したかと思えば、あっという間に、サイコロ状に切ってしまう目にも止まらぬその速さ。


 肉にワインをかけた後に、間髪入れずに火を付けると炎がボワッと上がる。私が撮った写真は火が消えた後のしょぼしょぼとした煙でしたが、Fさんはカメラの通ですから、決定的瞬間を見事に捕らえています。あまりの美味しさにあごが落ちそうになりました。私も最近では、肉より魚、魚より野菜を好んで食べるようになっていたのですが、いくらでもお腹に入りそうな勢いです。


 また、この後に先ほどの肉の脂で炒めて作ってくれたニンニクライスの美味しかったこと。脂っこいのですが、それがサラッとしていて私などついつい3杯も食べてしまいました。今日は久しぶりに堪能しました。私達だけが美味しい思いをするのは悪いと思って、滅多に無い事ではありますが、妻にお土産として100グラム3,500円のステーキを奮発して買って帰ることにしました。


 www.nasugyu.com  大黒屋さんのウェブを訪ねてみてください。

 Fさんの奥さんの凄い一面

 Fさんの自宅に戻り、大黒屋さんでの食事会の様子を奥さんを交えて楽しく語らいました。そんな話の中から”奥さんの凄い一面”を知る事になるのです。ふと、目に止まったスピーカーの上の竹篭に話が行った時です。何と!、奥さんの手作りと言うではありませんか。


 もっと詳しくお聞きすると、竹細工のアマチュア部門で最優秀に選ばれた事もあるそうです。恥ずかしそうに見せて下さったのは、奥さんのその時の見事な作品が大きく写っている次の年のポスターです。


 現在、編みかけの物を見せてくれたのですが、それは、それは、精巧に出来ています。見ているだけで気が遠くなるような根気と丁寧さです。その出来栄えには人柄が自ずとにじみ出ています。これを見て、より一層良い製品を作ろうと私も意欲を新たにしました。

 完全にノックアウトされてしまった私

 この後、Fさんのステレオのクリニックをさせて頂くつもりでしたが、「大黒屋さん」と「奥さん」に完全にノックアウトされてしまった私は、折角ご馳走して頂いた後に、「ここをこうしたら」、「ああしたら」と言う気になれず、最初お邪魔した時に聴かせて頂いたのみで終わってしまいました。ですから、Fさんのステレオの本格的なクリニックは次回にさせて頂こうと思っています。

 
 ”音楽の美味しいエキス”

 ただ、その時に強く印象に残ったのは、タンノイでしか絶対味わえない”音楽の美味しいエキス”が出ていたことです。50年以上かたくなに同軸を作り続けているのは、やはり伊達ではありません。味というものは、人間の微妙な感覚と豊富な経験が作り出すものですから納得です。

 聴いてみたいサウンド・ステーションの音

 その時、私の脳に瞬間に浮かんで来たのは、このカンタベリーのBIGの下に「サウンドステーションを敷いたら、堪えられない音になるだろうな〜!?」との思いです。そうすると、先ほど感じた中高音の美味しい音の下支えをする、チェロやコントラバスの領域が見違えるような音に成るような気がしてならないのです。他人のシステムとはいえ、私はその音を無性に聴いてみたい衝動を感じるのです。是非、Fさんには導入して頂きたいと思います。

 カンタベリーの”お粗末なポイント”

 そのカンタベリーの四隅の足の事なんですが、BIGをベストポジションにセッティングする為に、元々付いていた10円玉サイズのポイントを外してみたところ、中が空洞でビールの栓のような物だったと見せて下さいました。


 これでは良い音はしません。メールの中で『混濁した尖った音』とFさんが言っておられたのは、これが原因だったのでしょう。カンタベリーのオーナーの皆さん!、PB-BIGに入れ替えてみて下さい。見違えるような音に変身しますよ。


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